絵画はできるだけ、作品集などの印刷物ではなく、実物を見てください。それは、名画だけにとどまらず、漫画の原画も含みます。
理由は、2つあります。
- 絵の具の発色が違う
- 作者の思い入れが伝わる
この2つを説明します。
絵の具の発色が違う
絵の具で使われている顔料の発色は、印刷では表現しきれません。
の具の発色が全く違います。印刷では、絵の具に使われている顔料の発色は再現できません。名画作品集は時間とお金をかけて制作されますが、再現は不可能だとおもいます。
また、色を再現するには、使用している紙の色、絵の具の盛り上がりの陰影、も含まれると思います。それは、印刷では表現できません。
作者の思い入れが伝わる
実物は、作者が手をかけています。作者が構図を決め、線を描き、色を塗り、仕上げています。構図の緊張感「この場面を切り取ることが必須だった」と、息を止めて描いたんだろうとおもわれる震えのない線、細部まで綺麗に塗られた色、など。ほんとうに作者のその作品に対する愛情と表現力の高さが伝わります。以前、少女漫画の雑誌の表紙用の原画を見ました。原稿(実物)とその原稿をつかった雑誌の表紙を左右にレイアウトしている展示でした。原稿(実物)は丁寧で思いのこもった絵が発色の良い絵の具で仕上げられているんですが、印刷物として雑誌の表紙になってしまうと、色も変わり、思いも弱く感じました。雑誌の表紙は作者の思いよりも、雑誌の内容をどれだけキャッチーにするかを考えているので、役割が違うんですけどね。
その二つを比べた時に思いました。作品は、できることなら実物を見ようと。
いま見たい絵画の実物は、葛飾応為の作品
先日、NHKBSプレミアムで見た葛飾北斎についての番組。
「森羅万象に挑んだ絵師 画狂・葛飾北斎」
この番組の中で見た、葛飾北斎の三女、葛飾応為の作品がすばらしく美しくて、作品を見たくなりました。
葛飾応為は自身も浮世絵師をしていて、また葛飾北斎の助手もしていました。
ウィキペディアをちょっとみてみたら。。嫁に行ったが出戻り、北斎の晩年20年を一緒に過ごしたそうです。
テレビで紹介された彼女の作品は、
- 様々な種類の花の絵
- 美人画
で、彼女の絵の中で好きだった特徴は、流れるような丁寧な線と、繊細な光と影の表現です。
花の絵の紹介の中で、様々な種類の菊を描いている絵がありました。花びら一枚一枚、葉っぱ一枚一枚を生き生きとした線で描いていて、「あー、美しいな。。」とため息が出るほどでした。
美人画で紹介されていたのは、
メナード美術館所蔵の「夜桜美人図」
です。この絵の美しさは、陰影の繊細さです。光が当たってるところと、影のところと、色わけが美しいんです。桜が満開の夜に、一人の女性が、火の入った灯篭の側で、短冊に和歌を書いているところの絵です。着物の描写が紹介されていたとき、影の部分は、黒い影が落ちているので、全体的に、暗いですが、色は着物の鮮やかさが分かるように表現されていました。桜の表現は、影の部分はシルエットで、光が当たっているところは、桜色の花びらが表現されています。
企画展で展示されるのを待ち望んでいます。
「夜桜美人図」はホントに美しいのですが、言葉だけで伝えるのは難しいですね。。
メナード美術館、夜桜美人図
で検索してみてください。
番組で紹介された絵ではありませんが、原宿の太田記念美術館に彼女の作品が所蔵されています。こちらも、光と影の表現が美しい作品です。
「吉原格子先之図」
メナード美術館も太田記念美術館も常設ではなさそうなので、企画展が開催されるまで、実物はみられませんね。
はやく企画されませんかね〜。
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