茶道具関連の展覧会に行くと、重要文化財や国宝といった貴重な作品を見ることができます。
(写真は 国宝 姫路城です)
先日行った三井記念美術館でも、国宝一つと重要文化財数点が展示されていました。
国宝
志野茶碗 銘「卯花墻」
重要文化財
黒楽茶碗 銘「俊寛」
黒楽茶碗 銘「鵺」など
そこでふと思いました。
国宝に選ばれる基準とはなにか?
私が調べて、たどりついた国宝になる条件とは、ざっくり言うと
世界文化的に価値が高い
制作が極めて優れている
文化史的、学術的、歴史上意義が高いもの
これを調べたときに新しく知ったことがあるので、紹介します。
- 国宝、重要文化財、有形文化財の違い
- 国宝に指定されるまでのロードマップ
- まとめ
国宝、重要文化財、有形文化財
展覧会で題名が書いてあるところに表示されている文字、国宝、重要文化財、有形文化財をよく見かけます。宝や重要という言葉は入っているので、貴重であるという認識はあります。
貴重なものの順で並べると、
1)国宝
2)重要文化財
3)登録有形文化財
国宝、重要文化財の指定、有形文化財の登録をするのは、文部科学大臣です
それぞれの数です。(2022/09下記ホームページを参照しました)
件数 | ||
国宝 | 1,131 | |
重要文化財 | 13,360 | (この数は国宝も含んでいます) |
登録有形文化財(建造物) | 13,418 | |
登録有形文化財(美術工芸品) | 17 |
国宝に指定されるまで
国宝はいきなり国宝に指定されるのではなく、有形文化財のなかから選ばれたものが、重要文化財になり、そのなかから国宝が指定されます。
第一段階 有形文化財として登録されます。
第二段階
有形文化財の中から特に歴史上、芸術上、学術的重要だと思われるものが重要文化財として指定されます
第三段階
重要文化財の中から、国宝が指定される
登録有形文化財の中、重要文化財の中から国宝が選ばれます
重要文化財から国宝に指定されるときに条件とされることは、
- 世界文化の見地から価値の高いもの
- 製作が極めて優れ、かつ、文化史的意義の特に深いもの
- 学術的価値が極めて高く、かつ、歴史上極めて意義の深いもの
特に国宝として指定される場合には、「世界文化の見地」とはいっているので、日本の歴史や独自の技術を振り返るために、重要な役割を担える物が選ばれるということでしょう。
まとめ
国宝は、
有形文化財→重要文化財→国宝
という段階で選ばれます。また、国宝になるには、
世界文化的に価値が高い
制作が極めて優れている
文化史的、学術的、歴史上意義が高いもの
が必要です。
茶道具でも、そのものの美しさだけでなく、そのほかの条件に価値を置いています。
茶道具で貴重な名物と言われるものは、「誰が所持していたか」が重要だと思います。同じ造形の茶道具があったとしても、由来が異なることによって価値が違うことがあります。お茶碗に箱がついていると価値が上がると言われます。箱には、作者や持ち主の情報が書いてあるので、それがない場合の茶碗は、同じものでも価値は下がります。
自分にとって美しく「宝物だ」と思えればどんなものでも宝になり、価値はいくらでも高くしたくなります。が、他の人とその価値を共有するためには、納得できる歴史や由来、再現できない技術が重要になってくるのだと感じました。