茶杓の銘:ぜひ使いたい五月の季語

5月は、五節句のうちの一つ、端午の節句がある月です。いろいろな言葉から五月の節句を表す季語があります。5月5日を過ぎてしまったら使われませんが、バリエーションを持っていると季節を楽しめます。後半は、初夏の爽やかな新緑にまつわる季語が多くなります。
茶杓の銘の季語はいろいろありますが、いままで私が使ったことのない季語を見つけました。

5月のお稽古で使ってみたい茶杓の銘、季語を紹介します。

五月の季語
  • 登鯉(のぼりこい)
  • 駈馬(かけうま)、流鏑馬(やぶさめ)
  • 草笛(くさぶえ)
  • 大堰川(おおいがわ)
  • 五月闇(さつきやみ)
  • 清冽(せいれつ)

それぞれ見ていきます。

登鯉(のぼりこい)

茶杓の名で「鯉のぼり」はあまり使われないのでしょうか。5月を表すのにダイレクトすぎなのかな?しかし単語の順序を入れ替えた「登鯉(のぼりごい)」は使われます。「鯉のぼり」の元は「登鯉」です。登鯉のお話は、中国黄河にある竜門と呼ばれる滝を登る鯉から来ています。滝を登りきった魚だけが、竜になれる。それに成功した魚が鯉だけだったというストーリーです。このことから、出世や成功のたとえとして鯉が使われています。これが現代の「鯉のぼり」です。なので、「鯉のぼり」というよりは、「登鯉」のほうが元のストーリーに近いんですね。

駈馬(かけうま)、流鏑馬(やぶさめ)

登鯉以外の端午の節句に関わる季語としては、武者がまたがる馬にまつわる言葉もあります。駈馬、流鏑馬は、関連する行事がいつどこでで行われているかも合わせて知っていると、道具の銘を理解するのに役立ちそうですね。

「駈馬」
速く走る馬。また早く走る馬に乗る馬術。京都にある藤森神社で行われる5月5日の藤森祭では馬術が行事に取り入れられている

「流鏑馬」
走る馬に乗りながら3つの的を射る技。古くから神社(鎌倉の鶴岡八幡宮など)などで奉納されている

草笛(くさぶえ)

葉を折りたたんで息を吹き入れると音がなる草笛。子供の頃のノスタルジックな田舎の風景を想起させる季語ですね。葉は一年中どの植物にもありますが、この頃の葉は柔らかくて笛として音を鳴らしやすいのかもしれません。
私がこの季節に思いつく新緑を表す言葉は、青葉、青楓などがありますが、草笛は新緑の風景とともに懐かしい気持ちが思い出されるいい言葉ですね。

大堰川(おおいがわ)

京都の桂川の上流、嵐山渡月橋から桂橋までを大堰川といいます。5月の第三日曜日に「三船祭」がここで行われます。三船祭は平安時代の舟遊びを再現したお祭りです。5月に季語で「大堰川」と来たら雅な舟遊び、京都の三船祭を連想してみます。

五月闇(さつきやみ)

「五月晴(さつきばれ)」は普段でも使う季語ですが、「五月闇」もあります。昼間の厚くてくらい色の雨雲や、月の出ない闇夜のことを表現しています。5月の日中、空は晴れのときには眩しいほどにキラキラと明るいです。その空に、雲がかかると「闇」と思うほどに、この季節ではギャップがあるということですね。

清冽(せいれつ)

水などが清らかに澄んで冷たいこと。また、そのさま。緑の木々が生い茂るところに流れる、透明な川がキラキラとしているのが、想像されます。冷たい水に関連した季語だと、岩清水、清流などもありますね。真夏になると水も気温で暖かくなってしまいますが、この季節だと冷たいです。その爽やかさが伝わりますね。







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Ria
フリーランスでデザインの仕事をしつつ、週末はお茶のお稽古や、お茶を楽しむ会を実家のお茶室でひっそり開いています。グラフィックデザインと茶道を往来する中で、茶道の知識がデザインに役立ったりしています。
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