先日お稽古で使った棗は「二季鳥(にきどり)」という渡り鳥の図柄が蒔絵されているものを使いました。二季鳥とは二回日本と行き来する鳥、雁の異名です。
今回はお茶道具でよく使われる動物の図柄モチーフについて書きたいと思います。
モチーフとされる動物は大きく分けて、
- 春夏秋冬の移ろいを表す動物
- 事柄を表す動物
に分けられます。
- 春夏秋冬の移ろいとは、人が手を加えない自然の摂理
- 事柄とは、人の決めた行事やおとぎ話
お茶道具でよく使われる動物は、春夏秋冬の移ろいを表す動物です。それは、茶室で自然の移り変わりの美しさを味わうために使われていると思います。
春夏秋冬と事柄の違い。はじめに、事柄を表す動物について書きます
事柄を表す動物
人の決めた行事やおとぎ話の行事とは、結婚式、還暦などのお祝いごとです。鶴は千年亀は万年とは、よく知られているので、結婚や還暦、また1月初旬の初釜でもよく使われています。上の写真は、初釜の時に使った海老モチーフのお茶碗です。おせち料理に「長寿」の願いを込めて入れますよね。
次のおとぎ話でよく使われるのは、十二支。子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥です。年の始まりと年末に登場します。また、方位を司る四神、白虎(トラ)、朱雀(鳥)青龍(龍)玄武(亀)。そして鳳凰、麒麟。もたまに見かけます。
春夏秋冬の移ろいを表す動物
季節の花、その時期の鳥、風の強さ、月の動きなど、自然の情景の移り変わりの美しさを鑑賞することを花鳥風月と言います。
このことばからもわかるように、春夏秋冬、季節の移り変わりを感じさせる動物は主に鳥です。自然の美しい情景を表す要素の代表的な要素として挙げられています。
最初の棗に描かれている二季鳥のように、鳥の種類だけで季節を表したり、梅とうぐいすのように、花とセットになって描かれていることも多いです。鳥の見た目の美しさ、羽の色、体の形も大小様々で、首の長さ足の長さなど多様なことから、作る人の創作意欲を掻き立てるのかもしせません。
また、谷渡りや初音といった、鳴き声を表す言葉も季語として多くあります。鳥は、視覚と聴覚からも季節を感じさせることができます。
自然の摂理により、花が咲いて散るように、鳥は、季節ごとに大きく移動したり、特定の時期に鳴いたり、春夏秋冬とともに変化が大きい動物です。
道具のモチーフは、茶室に季節を演出するため、自然の様子を写し取ります。それとともに、鳥類の形の美しさや多様性が絵になるモチーフでもあります。なので、茶道具には鳥がよく使われるんでしょうね。
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