私はかれこれ、20年ほどお茶のお稽古に通っています。お茶の稽古を長くやっているから、お点前がうまくて、知識がある。ということではありません。毎週末、ただ楽しいから稽古場に行っていた。「楽しい」だから20年続いていたように思います。
なぜ「楽しい」のか？それを考えたら、お稽古に来ている人たちとの関係だったのだ、と気がつきました。
お茶のお稽古に通い始めたのは、中学1年生。
一つ年上のいとこと一緒に、遠い親戚である、お茶の先生の稽古場へ電車で45分ぐらいかけて通っていました。
2年ぐらい続けて、いとこが高校受験dえ勉強をしなければならなくなったので、辞めるのと同じタイミングで私もやめました。
その後、高校時代はやらずに、大学に入って、1年生の時から再開しました。その時は、母も一緒にお稽古に参加。母は50歳過ぎてからお茶を始めていました。
それから社会人になった時も週末休みの日1日はお稽古。留学中二年間は休みましたが、ほとんど続けていました。しかし先生が病気でお稽古場を閉めてしまい、中断しました。その後5年ぐらい経って、縁あって今通っている先生に知り合い、お稽古をさせて頂いています。
なので、行ったことのあるお稽古場は2箇所です。先生のお人柄もありますが、その２箇所とも行くのがとても楽しいんですよね。その「楽しい理由」は何なのかというのを考えてみました。若い頃は、珍しいお菓子を出していただいていたので、お菓子の美味しさに惹かれていたのかも。と思っていました。しかし、この年になってからは、お菓子が一番の理由ではなくなりました。では、使っている道具？とも思いましたが、２名の先生とも、季節の道具をたくさん揃えてくださっていたので、色々なお点前をさせてもらえ、変化があって楽しい。というのありますが、それもちょっとちがうような気がしました。
この「楽しい理由」、この２年間コロナでお稽古に行けなかった時に気がつきました。それは。「お稽古場に通っている人たちとの会話」でした。
職場、家族以外の人間関係を作れるお茶のお稽古
通っている（いた）お稽古場は、２箇所で、どちらのお稽古場も女性オンリーです。以前は男性も在籍していましたが、現在（当時）は女性のみ。年齢は下は中学生、30代から上は80代まで。会社員、主婦、学生、独身、既婚、離婚経験者、子持ち、子無し、様々な立場と、家族構成の人がいます。
まったく世間的に繋がりのない、多様な背景を持った人が「茶道の稽古をする」ために週に一回あつまっています。その中に身を置けることがとても楽しいのです。
お稽古場では、私は40代後半でも若い方に分類されます。年上の先輩女性の話を、利害関係無く聴ける、貴重な場所になっています。年上の女性は、会社員だったら職場の上司にもいるかもしれません。しかし、60歳になると定年でやめてしまっていますよね。また、発言により、仕事に支障がきたす場合もあります。また、身近に、年上の女性、母親がいますが、親には聞けないこと、親では知らないこともあります。上司でもなく母親でもない先輩女性の話を聞けるのが、今の自分にとって、とても良い時間だと思います。
特に重要な話をしているのではありませんが、夫が定年した時に家でどう過ごしたか、高齢の両親について、子供が大学に入る時に塾に行かせるのが大変だった、更年期は暑くて汗が流れてくるのがつらい、とか医者や病気の話、体力作りの話、などなど、体の変化や家族の状況の変化など世間話をしています。（もちろん稽古中は世間話はしませんが、ランチ時や準備をしてる時です。）
その世間話の中で、自分の5年後10年後の姿を身近に見れます。学生時代の友人とは、ちょっと先の未来を見ることがなかなか難しいですが、お茶の先輩方は、実感を持って見せてくれます。
その人が「もっと筋力をつけておけばよかった」「仕事はしてた方が良かったな」とか「大きい犬は年を取ると大変だった」とかそういうことを聞かせてもらうので、自分がその年齢になる前にどういうこと準備しといた方がいいのか。を想像させてくれます。
また、現在80代後半の先生も、「若い人たちと交流できるお稽古が楽しい」とよくおっしゃっているので、私が先輩方の話を聞くのが楽しいように、先輩方も後輩の話を聞くのが楽しいと思ってもらえるように、若者らしい（笑）話を提供できるように、ネタを仕込みを頑張っています。
幅広い年齢（年上が多いですが）、様々な立場の人がお茶のお稽古の目的で集う。それにより、自分の見方や価値観が広がっていると思います。それが「楽しい」に繋がっています。
職場、家族以外の人間関係を作れるのが、お茶のお稽古です。それが、毎週通うのが楽しくなるほど、自分の生活にとって必要な事だと思っています。
知り合いを呼んで開催している月に一度のお茶の集いも、そういう見方や価値観が広がるような集いにしたいです。
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