お茶はお点前の手順以外に、道具についての知識が必要です。
その知識が必要な理由は、亭主だったら、道具の拝見でお客さんに質問をされたら答えます。お客さんだったら、いい質問をして、亭主との会話を広げる必要があります。
しかし道具の作者、窯元、歴史などなど、私にとっては、覚えるのにかなり時間がかかります。私は、知識不足で言葉が足りないところを、感性で思ったことも合わせて話すようにしています。
お茶室で亭主と客が会話をする時、客側から自分との共感が感じられるような質問ができると、亭主にとっても嬉しいことなんじゃないかなと思っています。
- レジ店員さんと共感し幸せな気持ちになった会話
- 一般的にお稽古で使われる決まった会話
- 感性の言葉を入れたお稽古での会話
- 道具の知識不足を感性の言葉で補う
- お稽古の会話は感性を入れて3段階で考える
こんな内容で説明していきます
レジ店員さんと共感し幸せな気持ちになった会話
スーパーの入り口付近によくある、生花売り場の花束を、買い物かごにいれました。可愛らしい華やかなアレンジがいいなと、数分悩んで決めました。で、一通り購入する物をカゴに入れて、最後お会計。レジの女性が私の買い物かごの中のその花束を見て「可愛い〜」と思わず口にしていました。そこから、「色使いがかわいいですよね。最後の1束買わせてもらいました」とレジ打ち中に、ちょっとした会話をしました。
本当にちょっとしたことですが、少し幸せな気持ちでスーパーを後にしました。
その後、なんで幸せな気持ちになったのだろうと、考えて
「共感を示してくれたことが嬉しかった」
「少なくとも2人はこのアレンジをみて「かわいい」と思ったのが知れた」
のかと考えました。ふと「かわいい」と口にしてくれた店員さんのおかげで、自分の選択が正しかったと自信が持てました。
大手のスーパーなので、もちろんマニュアルがあるはずです。でもマニュアルにはない会話で、会計の場が、同じものをかわいいと思ったお互い「共感」の気持ちにより、幸せな気持ちになりました。
一般的にお稽古で使われる決まった会話
お茶のお点前中、亭主とお客で話をする場面があります。主に道具についてですが、聞かなければいけないこと、言わなければいけないこと、がほぼ決まっています。
しかしながら、決まっているセリフではなく、お互いの共感の気持ちが伝わるような、感性の言葉で話を広げてもいいのではないでしょうか。
特に毎回のお稽古では、マニュアルのセリフのようになっています。最初に習う薄茶のお点前で、お道具の拝見のやりとりは一般的にこのようなセリフで覚えます。
客「お道具の拝見をお願い致します」
亭主(無言で礼、道具を出す)
客「ご立派はお道具拝見させていただきありがとうございました」
客「お棗のお好み(お作、お塗り)は」
亭主「〇〇でございます」
客「お茶杓のお作は」
亭主「〇〇でございます」
客「ご銘は」
亭主「〇〇でございます」
客「数々どうもありがとうございました」
亭主もちろん稽古をしているので、何を聞かれるのかが分かっています。お茶のお稽古では、お点前の手順を習うように、聞き方もセットで覚えることになります。
感性の言葉を入れたお稽古での会話
次は、稽古で一通り習った問答に自分の感性を加えてみます。
>姿の珍しいお道具なので、是非見せていただけないでしょうか
>色味の美しい棗はどなたが作られたものなのですか
>勢いのある力強い文字の掛け軸は、どなたの書かれたものでしょうか
こんな感じで、自分が道具のどこがいいと思ったかがわかるように聞いてみたらどうでしょうか。答える側も、話を発展させやすいと思います。また、私が亭主だとして、その道具を選んだ思いと同じ感想だったら、共通点が見つけられて嬉しい気持ちになります。
道具の知識不足を感性の言葉で補う
もちろん、この方法「自分の感想を言う」は道具についての知識が無いときにも使えます。(私はよく使っています。)
自分の感性からくる感動を伝えることで、
「この作風は〇〇ですね」
「これは〇代目〇〇さんのですか?」
という、知識に頼らなくても話が発展できると思っています。もちろんその誰が作ったか、どこで作られたか、というようなことを知っているのが一番です。が、万が一知らなくても自分の感性によって、そのお道具を選んでくれた亭主の気持ちに応える。という方法もあるのではないでしょうか。
そのあと徐々に、勉強して知識を得る方向に進めばいいと思います。
お稽古の会話は感性を入れて3段階で考える
私が考える道具の拝見の受け答えのお稽古は、
「マニュアル通りのセリフを覚える」
「自分の感性でいいところを指しながら話す」
「自分の感性と知識を織り交ぜて会話を発展させる」
という3段階なのかなと思います。私はまだ自分の感性のみで止まっていますが、徐々に道具の知識や歴史について学んでいきたいです。
本来、茶道具の知識が拝見する時には一番必要かもしれません。が、私が目指しているのは、気軽に堅苦しくないお茶です。感性重視でお互いの感動から、会話が発展していく場として茶室を使いたいです。