この前の週末に12月最後のお茶をしました。その時に使った掛け軸は丑年の最後の月なので牛の描いてある色紙を使いました。
茶室の床の間には禅語が書かれたものが掛けられます。この色紙は十牛図(じゅうぎゅうず)の一つの場面を書いたものです。十牛図も禅僧の廓庵が作者なので、床の間にもピッタリでした。
十牛図とは10枚の絵からなるストーリーです。「一人の若者が自己を発見し、実現し、その後自己自由になり、次の世代へ伝える。」というお話を伝えています。
「丑年」最後の月という理由でこの絵をえらびましたが、偶然にも十牛図は年末に振り返りたい事と関係していました。それは、
「自分の探していたことを見つけても、始めから上手くいかないから諦めるな。」
という自分への戒めです。今年の最後にもう一度思い出し、来年も精進しようと思えました。この絵を掛けて良かったです。
十牛図(じゅうぎゅうず)について
十牛図とは?
十牛図(じゅうぎゅうず)は、悟りにいたる10の段階を10枚の図と詩で表したもの。「真の自己」が牛の姿で表されているため十牛図といい、真の自己を求める自己は牧人の姿で表されている。十牛禅図(じゅうぎゅうぜんず)や牧牛図ともいう。作者は、中国北宋時代の臨済宗楊岐派の禅僧・廓庵(かくあん)。 wikipediaより
このお話に登場するのは若者と牛のみです。話の中での役割は、
若者:悟りを開いていない人
牛:若者の本来の自己
十牛図は漫画のように、10の場面があり、それぞれを表現する絵があります。そのストーリーは、ざっくりと
若者が悟りを開くまでの道のり→悟りを開く→その後の心境
の変化を描いています。
この10の場面と、場面ごとの若者と自己(牛)の関係を紹介します。
1)尋牛(じんぎゅう):牛をみつけようとして見るが、みつからない
2)見跡(けんせき):牛の足跡をみつけられた
3)見牛(けんぎゅう):牛の一部だけ姿がみられた
4)得牛(とくぎゅう):牛を捉えたが、扱えずに暴れる
5)牧牛(ぼくぎゅう):捉えた牛を逃さないように、自分と繋げておく
6)騎牛帰家(きぎゅうきか):牛は若者に慣れ、若者を背に乗りせて帰宅する←悟りを開いた
7)忘牛存人(ぼうぎゅうぞんじん):家で暮らしていると、牛がいることを忘れる
8)人牛倶忘(じんぎゅうぐぼう):牛を捕まえた理由から牛を捕まえてきたことを忘れる
9)返本還源(へんぽんかんげん):自分のとりまく世界のありのままの姿を見る
10)入鄽垂手(にってんすいしゅ):社会の中で、他の若者を導く
騎牛帰家という6番目の絵が「悟りを開いた」一番のクライマックスです。
なので、色紙にもなっているのでしょう。
悟り目的でなくても、日常の中でも使える禅語
この10の場面、十牛図は「悟りを開く」という大きなテーマです。同じように、日常生活でもこのプロセスを辿ると充実した生活になるのではないかな?と思いました。私は、職業(仕事)に十牛図にあてはめてみました。
自分に合う職業を探して、それを追求して、のちには、次の世代に伝える。十牛図のようにステップを辿れたら、自分が満足できるキャリアを送れるのではないかな、と。それは、私にとって理想の人生です。
自分の適性とピッタリあった仕事、いい時も悪い時も試行錯誤して、上手く乗りこなせるようになる。そして自分がリラックスをした状態でも操れる状態になり、最終的には自分の生活と仕事が一体になり、最終的に若者に伝える側に回る。
なので、この6番目「騎牛帰家」の色紙から
仕事に十分に慣れ、どんな状況でもリラックスして事が運べるような状況を作り出そう。
というメッセージを自分に伝えます。そのためには、1〜5番目のプロセスを十分に実行する必要がありますね。なので、来年も精進、精進。
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