何かデザインを考えた時に、そのデザインについてのコンセプト説明をがうまくできると、できているデザインは同じでも、見栄えが変わったりします。コンセプトやアイデアのネタになるような、日本の昔からあるシンプルな形の意味について書きたいと思います。
全部で五つ紹介します。二つは植物からの形、三つは生き物からの形です。
植物からの形
- 万寿菊(まんじゅぎく)
- 利休梅(りきゅうばい)
生き物からの形
- 三角形
- 五角形
- 六角形
万寿菊(まんじゅぎく)
大きい丸の中に小さい丸がある、二つの円で表現される万寿菊。ぽてっとした形が「まんじゅう」のように見えるから、万寿菊を饅頭菊と書く場合もあるそうです。
万寿菊とは、オレンジや黄色の花が可愛らしいマリーゴールドのことです。花びらがたくさんあり、丸い形の花なので、本当にこの絵のような、大きな丸の中に、おしべとめしべがある小さい丸がある菊です。
菊の意味は、菊の節句と呼ばれる9月9日重陽の節句では、邪気を払い、無病息災を願って菊の花びらを浮かべたお酒を頂きます。
利休梅(りきゅうばい)
利休梅と呼ばれる植物もありますが、その植物の形から来た形ではありません。
利休が持っていた棗を包んでいた仕覆の柄「利休緞子」にデザインされているのが、利休梅と呼ばれている梅です。
五つの円を五角形の角に並べ、その中央に丸を置き、それを線で結ぶ。というシンプルな花模様です。円の大きさの比率、「花びらは大きくて真中は小さい」という決まりはなく、五つの円の中に一つの円があり、それぞれを線で結ぶという形が利休梅です。
梅は、異名を「花の兄」と言います。2月の一年で一番寒い時期に、先に咲く花です。寒い時にも咲く忍耐強さ、生命力のシンボルと考えられています。
三角形は鱗(うろこ)
蛇や龍の鱗を簡略化して三角形になりました。三角は縦横の比率などは厳密ではなく、少し平たくなっていても「鱗」と呼ばれます。
歌舞伎の演目の一つである京鹿子娘道成寺で、蛇の化身である娘が着ていた着物の柄はこの鱗柄です。人間ですが着物を鱗紋にすることで蛇の化身を表現しています。
龍は実際には存在しない霊獣で、天に登って恵みの雨を降らすと言われています。めでたい事の前兆として現れる生き物なので、縁起のいい吉祥文様として知られています。
五角形は鶴(つる)
家紋では「羽のある鶴の顔」など実物に近い絵が書かれています。なので、すぐ見て「鶴だ」とわかります。平面ではない、物のデザイン、例えば、茶道具では五角形の形をしていると、鶴を表現している場合があります。
五角形の形はどこから来てるかと言うと、頭、羽の先、両足の先を線で繋ぐと五角形ができるからです。どんな鳥でも、頭、羽、足はありますが、鶴のように首が長くて足もながくないと、五角形にはならないですよね。なので、五角形は鶴を表す場合があります。
鶴は、ご存知のように縁起のいい動物として知られていますよね。長寿や、夫婦円満(鶴は決めたパートナーと生涯過ごすため)のシンボルとされています。
六角形は亀(かめ)
の甲羅にある模様が六角形なので六角形は亀を表現しています。
ここから、ハニカムのような六角形が連続していると、亀甲と呼ばれ、縁起のいい吉祥文様です。
長生きをする亀にあやかり、長寿を表したり、また龍と並んで霊獣でもあるので、めでたい事の前兆の文様としても使われています。
シンプルな形にも、意味があると知ると、見えて来るものがありますよね。いままで気にしていなかった形に喜ばしい意味があると、なぜか大切に思えてきます。
そんな大切にされるような意味づけがされた、デザインが作れるといいなぁ。
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