今年、私の住んでいる関東地方は6月6日に梅雨入りしました。例年に比べてだいぶ早かったようです。6月は雨の季節です。お稽古で使う季語、私はワンパターンになりがちです。次のお稽古では、雨に関連するだけでない言葉を使ってみたいなと思い、下記7つの季語を選びました。
- 紫陽花(あじさい)
- 蛍(ほたる)
- 橋姫(はしひめ)
- 白糸(しらいと)
- 末摘花(すえつむはな)
- 伊予簾(いよすだれ)
- 竹落葉(たけおちば)
それぞれの類する季語も合わせて見てみます
紫陽花(あじさい)
紫陽花は異名が何個かあります。季語でつかってみたいなと思った3つを挙げます。異名を使うと表現がダイレクトでなくなるので、かっこいいですよね。そう思って花などのいろいろな異名を調べて茶杓の銘として使っています。
七変化(しちへんげ)
咲いてから 黄緑→青→紫→ピンク→スモーキーカラー といったように色が変化するため
四片(よひら)
花のように見える萼片(変形したガク)が4枚だから
手毬花(てまりばな)
花全体が球体にちかい形から、毬のように見えるため
蛍(ほたる)
蛍だけでも茶杓の銘として使えますが、蛍をつかった他の季語も3つあるので紹介します。
蛍狩り(ほたるがり)
蛍を捕まえたり、見物したりすること。「狩り」といっても蛍の見物をする時も使います。「紅葉狩り」も実際に取るわけではなく、見物することを「狩り」といいますね。これは求めて探す様子を狩猟に例えて美しい紅葉の風景を探すこと、蛍の飛ぶ風流な景色を探すことを「狩り」といいます。
蛍舟(ほたるぶね)
船に乗りながら蛍狩りをすること
蛍籠(ほたるかご)
蛍を捕まえて入れておく籠
橋姫(はしひめ)
橋の守り神、女神。京都宇治川の宇治橋の宇治の橋姫が有名。お茶の季語で使われるのは、この宇治の橋姫。
白糸(しらいと)
滝のように、細い水が流れたり落ちる様子を例えた言葉。静かで涼しげな風景が想像できますね。
末摘花(すえつむはな)
布の染料や口紅の原料となる紅花のことです。源氏物語の登場人物にも「末摘花」が書かれています。ちょうどこの時期、6月の終わり頃に丸くとげとげした黄色い花が咲きます。
伊予簾(いよすだれ)
平安時代の伊予国(愛媛県)でつくられていた簾。貴族の邸宅で日よけとして使われていました。また、名古屋の昭和美術館に所蔵されている中興名物茶入、古瀬戸尻膨茶入の銘にも伊予簾とつけられています。この茶入れの仕覆につかわれている裂地が伊予簾緞子です。
竹落葉(たけおちば)
竹の落葉は、新しい葉がでてくる初夏の頃枯れた葉を落とします。落ち葉は秋の風情ですが、竹の落葉は夏の始めの季語です。
竹の秋
同じように初夏の季語です。
「〇〇の秋」と言われると、もう1つあります。それは麦です
麦の秋(むぎのあき)麦秋(ばくしゅう、むぎあき)
麦も5月から6月にかけて穂が黄金色になり成熟します。なので、麦の秋も6月に使える季語になします。
茶杓の銘として使う季語は、みているだけで風景が想像できます。俳句の季語は時代によりアップデートされて、追加になるものもあります。しかし茶杓の銘で使う季語は昔からの言葉です。自然の様子やノスタルジックな風景を想起させる言葉を探して、それらを覚えるのがとても楽しいです。