洋室を茶室にリフォーム。照明はできる限り少なくていい

数年前に自宅マンションのダイニングルームを四畳半の茶室にリフォームしました。その際、茶室の照明の計画をする際ひ必然的に、茶室は洋室のように明るくする必要がるかどうかを考えました。
結論は、茶道の点前や道具は暗い場所で使われることを前提としている。ので、洋室のように天井の中央につけて部屋を明るくするシーリングライトは必要ないと判断しました。

暗いところに自由に照明がつけられない事は、現代の生活では考えられませんが、お点前が出来上がった時代の生活を考えてみると、見慣れたお点前にも新しい発見があります。

その発見したことを書きます。

茶室へリフォームしたら発見したこと
  • 茶室の窓の種類
  • うちの茶室の照明は
  • 薄暗い中で点前をする場合
  • 茶碗の中が見えなくても完成する点前

茶室の窓の種類

茶室には窓から明かりを入れます。その窓を設置する場所により種類が4種あります

  • 風炉先窓(ふろさきまど)点前座の正面窓、点前の際手元を明るくするためと炭を入れた時の換気のため
  • 色紙窓(しきしまど)点前座の客からみて点前中の亭主の後ろにくる窓
  • 突上窓(つきあげまど)天井窓
  • 墨跡窓(ぼくせきまど)床の間の側面の窓。床の間が見やすくなる窓

うちの茶室に採用したのは、風炉先窓のみ。それ以外は照明で補っています。

リフォームは、およそ6畳のダイニングルームから四畳半の茶室です。六畳のスペースは四畳半の畳、廊下、ちょっとした収納で構成されています。
マンションの部屋なので窓数は少なくダイニングルームのときから、明かりをとる窓はひとつ。しかしながらリビングとも繋がっているので、窓はひとつでも暗い印象はありませんでした。もちろん部屋の中央にシーリングライトもつけていました。
この部屋を茶室にするにあたり、壁を作って独立した部屋にします。そうすると窓はひとつ。その窓を風炉先窓として作りました。風炉先窓にしたので、元々の窓よりも小さい窓になりました。

リビングルームに続いていた側には茶室への入り口を作る必要があったので、そこには窓が作れませんでした。よって窓は風炉先窓の一つのみ。天井につける突上窓も、もちろんマンションなので取り付けられません。茶室はかなり暗いです。足りない光は照明から取ることしました。

うちの茶室の照明

照明は、天井際の上の壁のところにダウンライトをつけてもらいました。

天井近くの障子の中に蛍光灯を入れています

それで茶室全体をほのかに明るくします。天井の中央にシーリングライトは取り付けません。そして、お客さんが道具を拝見するときに、手元が見えない場合は、行灯のようなフロアライトを点灯します。

昼間に風炉先窓の障子を外して点前をする場合は、明るさも十分入り、茶室内はよく見えます。しかし日が傾いてきた夕方や、窓に障子をつけるとに点前が見えにくくなります。
それで手元を照らすフロアライトを点灯します。

薄暗い中で点前をする場合

現代は、手軽にスイッチ一つで照明がつけられますが、昔はできません。お茶は昼間にのみできる事だったと、実感します。

昔は暗い中お茶室でお茶を立てていたんだなあ。と茶室を作った時に思いました。もちろん電気はなくロウソクの灯りで夜もできますが、夜間やるというのはまた特別な意味で夜咄という夜ろうそくの灯りで行う場合もありますが、それは特別な行事として行われてたんだなと思います。

試しにうちの茶室で夕方に点前をすると、見えません。何が見えないかと言うとお点前をしているときに、茶碗の中です。

特に茶碗にお茶入れから抹茶を出すときです。黒い茶碗だと茶碗の底がまっ暗。そして、お湯をどれくらいいれたのか、茶筅で点てる時には、どれくらい抹茶とお湯が混ざっているのかが目視できません。

茶碗の中が見えなくても完成する点前

暗がりで立てる場合もあるから、お茶の点前が出来上がったんだと考えました。

抹茶をどれ位入れたかわからない!

茶入れに元々人数文のお茶だけ入っている。それをすべて振り出しで出す。

茶入には、濃茶を飲む人数分も抹茶しかいれません。約5g x 人数分を水屋で茶入れに入れて準備をしています。茶室で抹茶を茶碗に入れる場合は、茶入に入っている抹茶すべてを出すという動作のみにしておきます。

お湯をどれ位入れたかわからない!

柄杓を計量カップ代わりにしている。

「柄杓の合のどの高さまでいれれば、何人分のお湯」というのをあらかじめ覚えておく

抹茶とお湯がどれくらい混ざったのか目で確認できない

茶筅についた抹茶の様子で予想する。

茶筅の色は明るいので、抹茶の暗い色とのコントラストがあります。なので、どのくらいの量さき、茶筅の先についているのか見えます。それから抹茶とお湯がどれくらい混ざっているのか見ます。

そんな感じで、暗くても抹茶をお客さんに出すことができます。もともとの点前の手順、準備や道具により暗くてお茶碗の中が見えなくても抹茶を作ることが可能になっているのだと考えました。


お茶室へリフォームしてみて、お点前は暗い中でも出来るように設計されていることがわかりました。その昔、お点前が完成した時の過程を見られた気がして、わくわくしました。昔の人がどのように考えて道具や準備を考えたのか、照明が足りないとどういところを補う必要があるのか。その試行錯誤によって出来上がった点前や道具を現代で再現しているんですね。







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Ria
フリーランスでデザインの仕事をしつつ、週末はお茶のお稽古や、お茶を楽しむ会を実家のお茶室でひっそり開いています。グラフィックデザインと茶道を往来する中で、茶道の知識がデザインに役立ったりしています。
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