「川瀬巴水 旅と郷愁の風景 」を見にいきました

川瀬巴水 旅と郷愁の風景
SOMPO美術館

を見に行ってきました。

海外でも人気の高い版画家 川瀬巴水

川瀬巴水は海外で人気の日本の版画家は3Hと言われている、そのなかの1人です。活躍した時代が大正から昭和で3人のなかでも一番最近の版画家です。


Hasui Kawase
Hirosige Utagawa
Hokusai Katsushika

彼の描く風景で好きなところは、日常の風景やその土地独特の風景の切り取り方です。ただ歩いていたら、見過ごしてしまうようなことにフォーカスして、気が付かなかった美しさに気が付かせてくれる感じがします。特に感じたのは、空と光の風景、特に夕方から夜にかけて。夕焼けのグラデーションや月明かりの影の色が美しい。満月の月明かりは、本当にその場面も中にいるような、現代でもキャンプに行った時、周りの街灯が届かない真っ暗な山の中、満月の時などに見る風景のがありますよね。それを思い出すほど、光の色が現実と同じイメージです。暗闇の中の木々の影の色、柔い月明かりが作る影の美しさ、空の抜けるような青、暗い部分の色の変化や空の色は印刷では絶対に表現ができないです。なので図録は購入しませんでした。思い出したくなったら是非本物をまた見に行きたいなと思いました。

日常の風景は、晴れの日もあれば曇りの日もあり、また雨や雪の日もあります。その天気の移り変わりをとても風情あふれる色で表現していました。特に雨の降っている時、雨の水が空から落ちてくる表現だけではなく、その雨が落ちてきて空気に混じり、湿気をたくさん含んだ空気があるような感じ、ちょっと霞んで見えるような感じ、も表現されていて、本当にその場所でその風景を見るような雰囲気です。

日本各地や韓国での風景を描いていましたが、それらの版画を制作した時代には、現代のように気軽に旅することは、そんなに多くなかったのかなと思います。各地の風景を描いた版画を見て、故郷を離れた人が、自分の故郷を思い出すような気持ちになって、懐かしんでいたんじゃないかな。現代の私にとっては、昔のノスタルジックな気持ちを呼び起こす懐かしい風景となっています。

現代に通じるところ

この展示のはじめの方で、川瀬巴水が風景画で成功した話を紹介しています。それは、版元のマーケティングがポイントだったそうです。「大衆が何を望んでいるのか。」という需要と、「画力の高い版画」という供給が一致して、人気が出たと書いてありました。それを見て、どんなに実力があり画力があったとしても買ってくれる人がなければ、人気がでないという現実。それは昔も今も変わりません。


また、展示の最後のところで、スティーブジョブズが、川瀬巴水の版画をとても好んで収集してたという話を紹介しています。彼が収集していたものと同じシリーズの展示されてるのでそれを見るのも楽しいです。The日本というよりは、日常の風景みたいなのを好んでいたとのことでした。銀座の画廊で自分の目でチョイスして購入したそうです。

この展示を見た後、夕方に空を見たら川瀬巴水漫画のような色使いになっていました。風景はマンションや電線が画角に入って、自然の少ない風景に変わってしまいましたが、空の色は、川瀬巴水が見ていたものと変わらない色だったんじゃないかな。晩秋でたまたま風が強かった日だったので、空気が澄んでいました。でも現代の夏の昼間の風景は川瀬巴水が書いていた空の風景には似ていないんだろうな。。夏の空の色は、きっと今はもう見られない色ですね。排気ガスなどのチリなどが舞っているので霞んでしまっていると思います。







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Ria
フリーランスでデザインの仕事をしつつ、週末はお茶のお稽古や、お茶を楽しむ会を実家のお茶室でひっそり開いています。グラフィックデザインと茶道を往来する中で、茶道の知識がデザインに役立ったりしています。
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