古帛紗の名物裂の文様名は色、デザイン、モチーフから予測できる

最近茶道具のカラーリングについてポストしています。理由は「日本的な色と色合わせの参考になるような資料があったらいいな」とデザインをしている時に思うことがあるからです。


茶道具は漆器、陶器、ガラス、裂地の色を参考にしています。漆器の蒔絵は、たいてい漆の黒、朱、と金銀です。白漆で色があるものもありますが、私は持っていないので、私のブログには登場しません。なので、茶碗などの陶器、そして古帛紗などの裂地でカラーリングを書いています。


茶道具では、茶碗の絵柄や古帛紗が一番バリエーションが多く、そのカラーリングは、印刷やウェブのデザインの中でも参考になることが多いです。私は自分で「日本の伝統色スウォッチ」を作って、色を選ぶときにはそこから選んでいます。和風のデザインでなくても、日本の色は意外としっくりきます。


私の好きな古帛紗を紹介したいと思います。(まだカラーリングの色見本でポストをあげていません)赤色のチェックと縞が入っている裂(上の写真)です。以前お世話になっていた茶道の先生から、初釜の記念で頂いたものです。この古帛紗の裂地の銘を見つけたいのです。

古帛紗の名物裂はどうやって文様名を見つけるか。

古帛紗や仕覆(茶道具を包む袋)は、名物裂のパターンが使用されていることが多いです。名物裂とは、「名物を包む裂」として名品と認められた茶道具を包んでいた布のことです。


名物裂の名前は、織りの手法、文様のモチーフ、裂を所有していた人名、作られていた地名などでつけられています。なので、名物裂の名前を丸暗記していなくても、

  • 手法の名前
  • 人名
  • モチーフ
  • 地名

などから推測することも可能です。


戻って、この赤いチェックと縞模様の古帛紗です。古帛紗は古帛紗と同じ大きさの箱に入っており、裂地の説明の紙が一緒に入っています。箱と説明の紙をちゃんと取っておいて、古帛紗を使い終わったらその箱に収納しておく、のが正しい使い方なのですが、そのころそんなに大切なものかと思わずに、箱と紙をすててしまいました。。


では、先ほどの名物裂の名前の付け方を振り返って、この古帛紗の名前を推測してみます。

  • 折りの手法:間道(かんとう)(ストライプやチェックのパターンはかんとうと呼ばれています)
  • 所有者の名前:不明
  • 文様のモチーフ:なし(幾何学的なストライプとチェックなので)
  • 地名:不明

です。。「折りの手法:間道」しかわかりませんでした。間道の種類の中で似たものはないかと検索してみると、ありました。細かい格子とおおきなストライプが特徴のある裂地。その候補は2つ。

  • 「朝倉間道」
  • 「船越間道」

この二つの説明をみてみると、


朝倉間道:越前大名 朝倉義景所持の大名物「朝倉文琳茶入」に使われている仕覆の裂地が本家。色と柄の特徴は、赤茶色に藍色、白の縦横縞の格子と、赤茶の縞模様。


船越間道:戦国から江戸時代の武将 船越五郎右衛門、その子船越伊予守永景(茶人)によるものとされています。同名のものでも色やパターンの種類が多い。(ネット検索をしたら、黄土色ベースのものが多かった)

この二つの説明をみてみると、
朝倉間道:越前大名 朝倉義景所持の大名物「朝倉文琳茶入」に使われている仕覆の裂地が本家。色と柄の特徴は、赤茶色に藍色、白の縦横縞の格子と、赤茶の縞模様。


船越間道:戦国から江戸時代の武将 船越五郎右衛門、その子船越伊予守永景(茶人)によるものとされています。同名のものでも色やパターンの種類が多い。(ネット検索をしたら、黄土色ベースのものが多かった)


説明からすると、この古帛紗は赤茶色なので、朝倉間道なのかな?でも、「赤茶色に藍色、白の縦横縞の格子」とあって、藍色と白は使われておらず、黄土色と草色が使われているんですよね。。


でも、ベースの色を基準にして、この古帛紗は「朝倉間道」なのかな?
今度お稽古で使うとき、道具拝見の応答の際には、「朝倉間道」と答えます。







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Ria
フリーランスでデザインの仕事をしつつ、週末はお茶のお稽古や、お茶を楽しむ会を実家のお茶室でひっそり開いています。グラフィックデザインと茶道を往来する中で、茶道の知識がデザインに役立ったりしています。
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