茶室に入る時には、畳の歩き方を少し頭に入れておくといいと思います。特に難しいことはないので、ちょっと気にするだけで自信が持てます。私は裏千家でお稽古をしているので、いまから書くことは裏千家の場合を紹介しています。他の流派の立ち居振る舞いとは、多少違うことがあるかもしれません。その場合でも、自分の習った流派の振る舞いで、特に失礼には当たりません。
畳の縁を踏んだり、縁の上に物を置かないようにする
畳の縁を踏んではいけないこれは流派関係なく、畳の縁を踏んではいけないという決まりがあります。歩いている時に足で踏むこと、菓子器や道具を上に置くこと、礼をする時に手を乗せること、も避ける方がいいでしょう。理由はいくつかあるのですが、代表的な理由は二つ。一つ目の理由は格式のあるものを踏まない、というものです。縁に家紋などを入れた紋縁や格式を表す紋を施しているものがあります。それらは足で踏まないという理由です。
二つ目の理由は、縁は結界をあらわしており、自分と他人を分けるもの、なので踏まない。特に茶室では、客畳(お客さんの畳)、点前畳(点前をする亭主の畳)、貴人畳(身分の高い人)と畳に入れる人を決めています。それらを分けている結界の意味を持つのが縁です。神社の門の敷居も結界で、門をくぐる時に敷居を跨ぐことと同じです。
畳の中央を真っ直ぐ歩く
人とすれ違う場合を除いて、畳の中央を真っ直ぐ歩きます。畳の端っこを歩いたりすると、足の動きがフラフラし、歩数も増えます。畳の中央を歩くことにより、最短距離で早く美しく移動ができます。真っ直ぐとは言っても、モデルがランウェイをあるくように、直線から足をそらさないような足さばきではなく、歩き方は自然に、でも歩く場所は畳の中央です
畳での足運びは足の裏を見せないようにする
ポイントは、足袋の裏を見せないように歩き、後ろの足のかかとを上げすぎないようにする。です。とはいっても、そろりそろりと足袋で、畳でスリスリをする必要はありません。運動靴を履いている時のように、「かかとから地面につけて、つま先で蹴る」歩き方はしません。茶室では自分が歩いている時に、他の人は畳の上に正座しているので、足袋の裏側が見えないように、できるだけ足を平たくし、畳と足袋の裏が平行になるようにして床に足を下ろすようにする感じです。そうすると、音も静かに、埃も舞い上がりにくくなります。茶室には道具があったりするので、道具に振動が行かないように、埃がかからないようにする。というのも理由の一つです。
畳の部屋は少なくなってきていますが、どこかにお出かけになった時にでも、ちょっと思い出して実践してみてください。
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