俳句を作る楽しさは、ミニマムな文字数で豊かに表現すること

以前句会に参加していた頃に、俳句の先生がおっしゃっていました。

「俳句は、お金のかからない芸術」

広い場所や、特別な道具が必要なわけでもありません。「やろう」という気持ちと紙とペンがあればOK。今では、スマフォのメモ帳への入力でもできます。「やろう」と思った時に、自分が気をつけていた2つを紹介します。

  • 小さなことに気がつく感受性。
  • 他の人も共通のイメージが持てる言葉の選定

です。これを念頭において、日々起きた出来事を観察したり、好きだった場面を思い返してみたりすると、作りたい句が浮かんできます。

小さなことに気がつく感受性

俳句を作る、表現するとは、表現したい場面の見たままを文字で写し撮るのではありません。場面を表現したかったら、その場面をどのように表現するか、どの部分に視点を置くのか、を単語で表現します。何人かで同じ場面を見たとしても、創作する俳句は、それぞれの視点から出来上がるので面白いです。

句会に出席した時に、先生が

「五感を感じる句ができるといいね。」

と話しをしていました。見たもの(視覚)を表現するだけでなく、嗅覚、触覚、味覚、聴覚を感じるような言葉選びも、表現したいことによっては重要だ。ということだと思います。歳時記を読んでいると、各季語の説明に、それぞれ有名な俳句が書いてあります。同じ単語をつかっている俳句でも、作者の視点と個性が反映されてて、作者はどういう人だったのかなと想像するのが楽しいです。

「新緑」という五月の季語で2句みてみました

新緑やこってり絵の具つけて画く 高田風人子

ホトトギス季寄せ 稲畑汀子 編

塔仰ぐとき新緑に染まりつつ 稲畑汀子

ホトトギス季寄せ 稲畑汀子 編

同じ季語を使っていても、だいぶ印象が違います。絵画の中でぺたぺた絵の具をつけて書かれた新緑と、街を歩いていて塔を見上げた時に見える新緑。前者は黙々と静かに描いている様子が感じられます。後者は晴れている日に街にでて颯爽と歩いている様子が感じられます。作者によっても、「新緑」という言葉から連想されるイメージはだいぶ異なっていて、面白いですね。

他の人と共感できる言葉の選定

自分が句で表現したい事を発見したら、言葉や季語に結びつけて、表現したい世界を作っていきます。必要な単語だけを残した結果の五七五、合計17文字。

自分だけがわかるのではなく、読んだ人へそのイメージが伝わるのか? を考える必要があります。言葉を選定するときに、気をつけていたのは、

「他人がその言葉でイメージができるか?」

です。自分が選んだ言葉は他の人にはどう伝わるかな。その言葉は、他の人にも自分と同じような世界を見せてくれる言葉かな。と考えます。同じ世界を想像できる言葉とは、例えば、以前の句会で句に盛り込まれていた言葉、

  • 縁側
  • 勝手口

は、読んでる人に昭和や田舎といった、ノスタルジーを感じさせるキーワードと思います。

  • タップ
  • スマフォ

は、令和や若者といった時代を感じさせるキーワードだと思います。

どういう場面、気持ちを表現したいかを明確にして、読んでいる人にも共通のイメージを浮かべてもらえる言葉を選ぶ、それがちゃんと合致すると、作者の伝えたい事が読んでいる人にも伝わる。

ここが私にとっての俳句の面白さかなと思っています。短編小説よりも短い小説のような、4コマ漫画のような、短い表現芸術ですね。

海外から見た日本の得意としてよく挙げられるのが、ミニマリズムですが、俳句もミニマリズムですよね。文字数はミニマム。選ばれた言葉の表現はとても豊かです。

また俳句を作ってみようかな〜。いますぐできる創作活動。日記のようにすると自分の気持ちが思い返されて楽しいとおもいます。







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Ria
フリーランスでデザインの仕事をしつつ、週末はお茶のお稽古や、お茶を楽しむ会を実家のお茶室でひっそり開いています。グラフィックデザインと茶道を往来する中で、茶道の知識がデザインに役立ったりしています。
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