桐箱の真田紐の色、柄は家紋と同じ。とても機能的なデザイン。

桐箱にプレゼントのリボンのようにかかっている紐を真田紐といいます。最近はブレスレットなどのアクセサリーの素材としても使われています。この真田紐は本来、家を表す家紋のような機能を持つ優れたデザインなので、このことを書きます。

桐箱の真田紐の色、柄の意味

先日書いた桐箱の修理の話。箱は新しくしないで、修理して正解だったんです。それは、真田紐はオリジナルのものを使っていた方がよかったからです。

桐箱を修理に出すと8000円。新しく買うと3000円程度。だったので新しく箱を買って、茶碗を入れてしまおうか。とぼんやりおもっていました。

箱に書いてある窯元や作家さん、茶碗の種類の印はとりあえずなくなっちゃうけど、5000円お得かな?と思いました。その際に買った修理が必要な箱にかかっている真田紐も新しいのものと変わってしまうな。。とぼんやり思っていました。

「その時はじゃあ何色にしようかな〜」

と気軽に好みだけで選ぼうと、新品の桐箱を検索していました。いろいろみて見ると、どうやら桐箱についている真田紐は、とても意味があるものだということにたどり着きました。


そういえば。。お茶名の免状をいただいた時に、免状が桐の箱に入っていました。その箱にかけてあったのが、この真田紐です。色は薄茶色に黄緑色の縁取りです。

先生が、

「これが裏千家の物に使われている真田紐よ。」

と言っていたのを思い出しました。
真田紐は使用する対象により、デザインや色が決められている場合があります。(全く関係のない色の好みで決める場合もあります)


皇室関係・・・古代紫無地・紫無地・古代朱無地
神社・仏閣・・・白無地・古代紫無地・古代朱無地
裏千家・・・薄茶に薄緑のふち


皇室、家元、神社仏閣の場合もあれば、窯元、作家を見分けられる、サインのような役割をします。


茶道具などの桐箱に入っている物の真贋を見極めるのに、以下の二つをきにするといいと言われます。

  • 「極み」や「箱書き」を注意深く見る。
  • 極や箱書きに書かれている事と、中身、箱の真田紐が合っているかというのも見る。

そうすることによって、偽物をつかまされる事が少なくなるといいます。また、偽物やコピーを防ぐために、

  • 真田紐の色やデザインを秘密にする。
  • その柄(や色)を所有している者しか購入できない

知ってる人しか知らないので、コピーができない。偽物が出回りにくい。また、真田紐は、その柄(や色)を所有している者にしか販売しないので、箱の偽造がされにくくなっているといいます。

イギリスのタータンチェック、アイルランドのアラン編みの様

この真田紐の話を聞いて、何かに似てるとおもったのは、イギリスのキルト「タータンチェックは家紋である」です。家(また組織)によって色やその配分が決められています。

  • 色の組み合わせ
  • 色数
  • ハイライトの入り方など色の配分


そういうもので、「どこのチェックを使っているか」で家を示します。それぞれのチェックに名前がありますが、それは家の名前です。


もうひとつ思いついたのは、アイルランドの西にあるアラン諸島で生まれた、アラン編みです。編み方により「どこの島のどの家の人か」表しています。諸島なので漁業が盛んで、昔、漁師さんが着るフィッシャーマンズセーターとして有名です。セータは家ごとにデザイン(編みパターン)が受け継がれています。

昔は、漁師さんが乗った船が、不運にも遭難してしまった際、発見されたときに、身元の証明にセーターの網目模様を見て、「どこの島のどの家の人か」だというのが判別可能にしていたようです。

真田紐、タータンチェック、アラン編み、それぞれ色、デザインによって所有や所属を示すんですね。

  • アラン編み:代々受け継いできた柄により、どの家の人かわかる
  • タータンチェック:色の配色、配分により家紋のように家を示す(家ではなく軍など組織でもきまったタータンが存在します)
  • 真田紐:色、柄により物の所有者を示す

特に真田紐は、印のように偽造防止にもつかわれています。印は偽物が素人にも頑張れば作成が可能ですが、真田紐は作るのに技術がいるので、この点も防止にとても効果的だったようです。

いいデザインだとおもいました。

母にあげた茶碗の真田紐がたまたま裏千家仕様だった!

ここまで書いてきて、
「私が以前、母の喜寿のお祝いにあげた紀州焼の茶碗の真田紐は何色だったかな?」
とおもって、写真をみました。

真田紐をよく見ると。。薄茶に黄緑のふちです


そうしたら、茶名の免状といっしょ。裏千家の真田紐にとってもよく似ていました。
「この茶碗って裏千家に縁のある作家さんが作ったのかな?」
検索したら、初代寒川栖豊作で、大宗匠の箱書きがある茶碗が何個かありました。もちろん箱書きのある茶碗の真田紐は裏千家(薄茶に黄緑の縁)のデザインでした。私が買った茶碗には箱書きはなかったですが、同じように 裏千家のデザインのものを使うのを許可されたんですかね。

作品に家元に箱書きをお願いする場合には、その家元の真田紐に付け替える必要があるそうです。







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