道具を大切にする先生

私には習っている(た)2人のお茶の先生がいます。
その2人に共通していることは、道具を大切にすること。

長年お稽古に使っている道具は、

傷が付いてしまう事は良くあります。
その傷ついた道具をどうするのか。2人の先生の解決策が私は好きです。

道具が傷ついた時、思いつくのは
>その道具を物置の奥に入れて使わない
>捨て、また新しいのを買う
>傷つく前と同じ様に解らない様に直す 等

でも、それら以外の方法もある事を教えてくれました。

一人の先生のお宅の襖。柄は青、白、金色の千鳥が下から群れで飛び立った様子を表していました。「素敵だな〜」と思っていたら、実はそれが、襖に穴をあけてしまった後の穴隠しのために貼っているものでした。穴を塞いでいるのは2、3の千鳥型の紙ですが、それ以上にたくさん貼り、まるで海から群れが飛び立ったような風景になるようにデザインしていました。

2、3の穴の為に襖一枚を張り替えるのは労力がいります。それに対して穴をふさぐ型を何枚か切りとるのは、そこまで大変ではないと思います。そして、何色にしようか、なんの形にしようか、全体のデザインはどうしようか。と考えるのも楽しそうですね。

もう一人の先生はお稽古の道具。竹製無地の茶色い蓋置きの一部に、目立つ引っ掻き傷のような線が数本ありました。そして、「この傷、もうちょっと自分で足すと笹の葉のように見えてきて、鳥獣戯画みたいに出来ないかしら。」と。柔軟な発想で引っ掻き傷が鳥獣戯画風に。

竹に茶色い色が彩色してあるので、傷が出来たときに、同じような色絵の具で丁寧に上から塗ってしまう事も可能でしょう。でも、出来た傷にもっと傷を付けて他の絵にしてしまう。傷ついて「残念」な気持ちにもなりますが、それを「どうするか」と考えるのはいいと思いました。

私の2人の先生が言っていました。
「ほら、こうしたら傷も活かせるでしょ。」

昔の茶碗が割れた時も金継で元の形に継ますが、割れた所に金の線が入って、それもまた景色になる。傷ついた道具を工夫により新しい印象にしていくのも、お茶の楽しい所なのかもしれません。







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